- 「鉄道会社で働きたいけど、鉄道の高校や専門学校に行ったほうが有利なのかな」
- 「わざわざ私立の学校に通うお金を出す価値はあるのかな」
進路を考えるとき、こんな疑問にぶつかる人は多いと思います。
結論から言います。
ただし、「入れば就職できる」学校ではありません。ここを取り違えると、学費だけが残ってしまいます。
この記事を書いているフェニオは、高校卒業のときに鉄道会社の採用試験に落ちました。
そこから鉄道系の専門学校に進学し、あらためて挑戦して鉄道会社に入っています。
自分の実体験と、現役運転士として職場で見てきた「鉄道系の学校出身者のその後」をもとに、メリット3つとデメリット3つを包み隠さず解説します。
鉄道系の学校とは

鉄道の仕事について専門的に学べる学校のことです。大きく分けて、高等学校と専門学校の2種類があります。
先に共通点を1つ。鉄道系の学校は、どれも私立です。公立の選択肢はありません。学費の話につながる大事な前提なので、覚えておいてください。
鉄道系の高等学校
中学卒業の段階で「鉄道の仕事に就く」と決めた人が進む道です。代表的なのは次の2校です。
- 岩倉高等学校(東京・上野/運輸科)
- 昭和鉄道高等学校(東京・豊島/鉄道科)
どちらも鉄道の専門科を持つ高校です。
昭和鉄道高等学校では、2年次から運輸サービス系と運輸システム系のコースに分かれる仕組みになっています。
ここで正直にお伝えしておくと、鉄道系の高校は数が少なく、東京に集中しています。
地方に住んでいる人は、通学や下宿の問題が現実的な壁になります。
鉄道系の専門学校
高校卒業後に進む道です。高校よりも選択肢は多くなります。
鉄道の専門学校というと鉄道だけを学ぶ学校を想像しがちですが、実際は旅行・観光系の専門学校のなかに鉄道コースが置かれている形が中心です。
2年制の学校が主流になります。
- 大阪鉄道専門学校(2026年4月に「大阪鉄道・観光専門学校」から校名変更)
- エアライン・鉄道・ホテル・テーマパーク専門学校東京
- 専門学校大阪ホスピタリティ・アカデミー など
このほかにも各地に学校があります。学校ごとの中身の違いや選び方のコツは、別記事にまとめてあるので、具体的に探す段階になったら読んでみてください。

フェニオフェニオも高校で一度落ちてから、この専門学校ルートで鉄道会社に入ったんだ。落ちて終わりじゃないよ
鉄道系学校のメリット3選
実際に通ってみて、そして採用される側になって分かった強みを3つ紹介します。
同じ夢を持つ仲間と出会える
これが一番大きいと思っています。
フェニオが通っていたクラスは少人数でした。
全員が鉄道会社を目指しているので、誰かが資格の勉強をしていれば自分もやる、面接の練習相手にも困らない。そういう環境でした。
結果として、
一人で勉強していたら、途中で気持ちが折れていたと思います。前を向いている人が周りにいる環境は、それだけで力になります。
ただし、これは裏返しでもあります。遊びに流されてしまえば、同じ環境が逆に働きます。
鉄道会社の採用試験は倍率の高い競争です。同じ2年間を過ごしても、結果は正反対になります。



みんなで前を向いて切磋琢磨できれば、明るい未来が見えてくるよ。でも遊びに走ったら、ライバルとの競争には勝てないね
即戦力として採用が期待できる
鉄道系の学校では、鉄道の仕事に直結する資格の取得を目指します。
フェニオが「採用試験で効いた」と実感しているのは、次の2つです。
- 総合旅行業務取扱管理者(国家資格)を取ったこと
- 学校で面接対策をみっちりやったこと
総合旅行業務取扱管理者は、旅行に関する法律や約款、JRの運賃計算などを扱う国家資格です。
難易度が高いぶん、鉄道会社から見れば「鉄道の実務的な知識がある」「努力ができる人だ」という分かりやすい証明になります。
面接対策も同じです。鉄道業界出身の先生がいる学校なら、業界研究から本番を想定した練習まで面倒を見てくれます。独学ではなかなかここまでできません。
実際、フェニオの職場にも鉄道系の高校・専門学校の出身者はたくさんいます。学校で準備を積んだ人が採用されている、という実態はたしかにあります。
新卒としての採用枠で応募できる
見落とされがちですが、これは大きな利点です。
鉄道会社の採用には、新卒採用と中途採用(経験者採用)があります。学校を出てすぐ応募する人は、新卒枠で勝負できます。
なぜそれが有利なのか。
たとえばJR東日本が公表した2026年度の採用計画では、新卒が総合職と地域総合職を合わせて約660名、経験者採用が約250名規模でした。中途の門戸も年々広がっていますが、人数の多さでは新卒枠が上です。
同じ会社を目指すなら、入口が広いほうから入る。これは戦略として理にかなっています。
高卒・大卒それぞれのルートは、こちらでくわしく解説しています。




新卒での就活が不安な人は、新卒向けの就職エージェントに相談してみるのも手です。
無料で使えて、自分に合う会社を一緒に探してくれます。
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鉄道系学校のデメリット3選
良いことばかり書いても参考になりません。進路を決める前に知っておいてほしい弱点も3つ挙げます。
私立学校なので学費が高い
さきほど触れたとおり、鉄道系の学校はすべて私立です。
高校の場合、学校によっては初年度の納入金がおよそ100万円前後かかることもあります。専門学校も2年間分の学費が必要です。
金額は学校と年度によって変わるので、必ず各校の公式サイトで最新の数字を確認してください。
フェニオ自身は奨学金を使って専門学校に通いました。返済のことは正直不安でしたが、大手鉄道会社に就職できたおかげですぐに返し終えることができました。



学費は安くないよ。でもフェニオは『鉄道会社に入れたら取り返せる投資』だと思って踏み切ったんだ
ここは冷静に書いておきます。この計算が成り立つのは、鉄道会社に就職できた場合です。
就職できなければ、学費と返済だけが残ります。だからこそ、次に紹介する注意点まで読んでほしいのです。
採用試験に鉄道の知識は正直必要ない
意外に思うかもしれませんが、事実です。
車両形式に詳しいかどうかで合否は決まりません。
理由は、入社後の研修体制が整っているからです。
きっぷの営業知識、信号や運転規則、接客マナー、異常時の対応まで、必要なことは入社してから会社が教えてくれます。
その証拠に、フェニオの職場にはまったくの異業種から転職してきた人が何人もいます。福祉用具メーカーから来た人もいます。
つまり、鉄道系の学校でなければ鉄道会社に入れない、ということはありません。
学校の価値は「鉄道の知識が身につくこと」ではなく、資格・面接対策・仲間といった準備の環境が手に入ることだと考えてください。
鉄道好きが裏目に出ることもある
ここは、いちばん伝えておきたいところです。
鉄道が好きで学校に入った人が、その「好き」を仕事の場に持ち込みすぎてしまうことがあります。よくあるのが、鉄道関連のアルバイトでの公私混同です。
好きだからこそ距離感を見失う。仕事の場で、利用者や趣味の目線が抜けなくなる。
厳しい話ですが、過去には公私混同が原因で会社を去ることになった人もいます。
好きなことを仕事にするなら、「好き」と「仕事」の線引きが必要になります。裏を返せば、そこさえ守れる人にとっては、鉄道が好きなことは間違いなく強みです。



職場にも鉄道好きはたくさんいるよ。長く続けている人ほど、仕事中は趣味のスイッチをきっちり切っているんだ
面接でも同じです。「鉄道が好きです」だけでは弱く、利用者として感じた魅力を、どう会社への貢献につなげるかまで話せる人が評価されます。
この落とし穴については、体験談の記事にもまとめています。


学校選びで必ず確認してほしいこと


学校のパンフレットやホームページでよく見かける「鉄道業界就職率100%」という表示。これは鵜呑みにしないでください。
この数字には、鉄道会社本体ではなく、グループ会社や関連会社への就職が含まれていることがあります。鉄道会社そのものを目指していた人にとっては、意味が変わってきます。
確認すべきなのは、どこの鉄道会社に、何人が内定をもらったのかという中身です。体験入学や個別相談会で、先生に直接聞くのがいちばん確実です。



パンフレットの数字はきれいに見えるからね。中身を自分の目で確かめた人が、結局いちばん良い進路を選べるよ
学校を比べるときのチェック項目は、こちらの記事に整理してあります。学校選びの段階で必ず目を通してください。


鉄道系の学校に行く価値があるのはこんな人
ここまでを踏まえて、判断の材料を整理します。
🔶行く価値がある人
- 中学・高校の段階で「鉄道会社で働く」と決めている
- 新卒枠で勝負したい
- 資格取得と面接対策に、2〜3年きちんと取り組む覚悟がある
- 学費を用意できる(奨学金を含めて計画が立つ)
この条件がそろっているなら、鉄道系の学校は近道になります。フェニオ自身がそうでした。
🔶急いで入り直さなくていい人
- 「鉄道の知識をつけたい」のが主な目的の人 → 知識は入社後の研修で教わります
- すでに社会人として働いている人 → 学校に入り直すより、中途採用で挑戦するほうが現実的です
社会人の方が学校に通わずに鉄道会社を目指す方法は、このあとのセクションでくわしく説明します。
中途採用で鉄道会社を目指す方法
すでに社会人として働いている人には、もう一つの道があります。
学校に入り直さず、中途採用(経験者採用)で鉄道会社を目指す方法です。
鉄道業界は人手不足が続いていて、中途採用の門戸は年々広がっています。「JRや大手は新卒しか採らない」というイメージは、もう過去のものです。
実際、年齢やキャリアを問わず運転士候補を募集している会社もあります。フェニオが確認できているのは、次の6社です(いずれも応募条件は高卒以上)。
- JR東日本
- JR東海
- JR西日本
- JR北海道
- JR貨物
- 東武鉄道
さきほど書いたとおり、採用試験で鉄道の細かい知識は問われません。入社後の研修があるからこそ、学校に通い直さなくても、鉄道会社への道はあるということです。
とはいえ、各社の求人を自分だけで探して、労働条件まで見比べるのは大変です。
無料で使える転職エージェントに相談すれば、非公開の求人を紹介してもらえたり、面接対策を手伝ってもらえたりします。
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中途採用の具体的な進め方や求人の探し方は、こちらの記事でくわしく解説しています。




まとめ


鉄道系の高校・専門学校が就職に有利なのかを見てきました。
🔶メリット
- 同じ夢を持つ仲間と出会える:フェニオのクラスは少人数で、ほとんどが鉄道会社に就職した
- 即戦力として採用が期待できる:総合旅行業務取扱管理者などの資格と、業界出身の先生による面接対策
- 新卒枠で応募できる:中途より採用人数が多く、入口が広い
🔶デメリット
- 学費が高い:すべて私立。就職できなければ費用だけが残る
- 鉄道の知識は採用試験に必要ない:入社後の研修があるので、学校に行かなくても入れる
- 鉄道好きが裏目に出ることがある:公私混同で会社を去った人もいる
そのうえで、答えはこうです。
本気で学んで、新卒として鉄道会社を目指したいなら、入る価値はあります。
大事なのは、学校に入ることではなく、入ってから何をするかです。同じ夢を持つ仲間と切磋琢磨できれば、明るい未来が見えてきます。
自分に合った道を選んで、鉄道会社への切符を手に入れましょう!
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