皆さんは車掌と聞くとどんなことをイメージしますか?
ドアの開け閉めをしている
運転士と何が違うの?
こんなイメージではないでしょうか?
車掌さんの勤務形態はどんな感じなの?
車掌さんの仕事のいいところや苦労する部分は何?
など、まだまだ車掌さんの仕事内容は知られていない部分が多くあります。
車掌の勤務形態
車掌のいいところ・苦労するところ
車掌に必要なスキル
が詳しくわかるようになります。
駅員・車掌・運転士を経験したフェニ夫が車掌の仕事について包み隠さず解説していきます。
車掌をしたい
車掌さんの業務内容を知りたい
車掌さんの勤務形態を知りたい
車掌の仕事
車掌とは列車の最後部または中間車両に乗務してドアの開閉や案内放送などを行う仕事です。
運転士とは違って直接列車を運転することはありません。
しかし、時刻表通りに列車が発車できるように時刻・信号・旅客の乗降を確認して安全に列車を発車させる重要な役割があります。
また、何か列車に異常があった場合には運転士に代わって列車を緊急停止させることもできます。
車内放送
駅到着時や乗り換えの案内などの車内放送を行います。
最近では自動放送が普及していますが、
列車の運転状況
異常時の対応
などには対応していません。
何かトラブルがあった時には車掌による肉声放送でお客様に適切に情報を提供し、安心感を与えます。
ドアの開け閉め
列車のドアの開け閉めは車掌の最も重要な仕事です。
時間
お客様の乗降
を確実に確認し、安全に列車を発車させなけれがいけません。
首都圏などでは最大で15両✖️4扉=60ものドアの安全確認を車掌一人で行わなければいけません。
車内巡回
列車が駅と駅の間を走行している間は車掌は客室内に入り巡回をします。
車掌の車内巡回には大きく2つの目的があります。
きっぷの発売
無人駅から乗ってきたお客様にきっぷを発売したり、今持っているきっぷの行き先を変更したりします。
乗り越しなどの精算対応も行います。
車内秩序の維持
車掌が車内巡回を行うもう一つの重要な役割が『車内秩序の維持』です。
不審な荷物はないか
誹謗中傷などの落書きがされていないか
などの確認を行ったり、車掌が車内で姿を見せるだけでも迷惑行為の抑止になったり、お客様に安心感を与えることができます。
その他の業務
🔶列車の誘導
列車の連結や分割作業の際に運転士に列車を移動させてよい旨の合図を送ります。
🔶座席の転換
終着駅などで列車が折り返し運転となる場合などに列車の進行方向に合わせて座席を転換していきます。
🔶車内の清掃
終点の駅などで折り返し時間に余裕のある場合などに車内に落ちているゴミなどを集めて車内美化に努めます。
🔶忘れ物の管理
車内にあった忘れ物は一旦車掌が預かります。終点の駅に到着した時に駅に忘れ物を引き継ぎます。
🔶列車防護
災害や事故などで列車が脱線したり、他の列車と衝突してしまう恐れがある時には隣接線路の列車を止める『列車防護』を運転士と協力して行います。
🔶避難誘導
災害や事故などで列車が駅と駅の間で長時間動けなくなってしまった場合や、津波や火災などで一刻も早くその場を離れなければいけない場合に運転士と協力してお客様を列車の外に避難させる『避難誘導』を行います。
車掌の勤務形態
車掌や運転士といった乗務員は駅に出勤することはありません。
駅に隣接している『乗務区』『運輸区』『列車区』『車掌区』といった乗務員専用の職場に出勤します。
そこで制服に着替えたり、乗務前の準備を行います。
出勤時間になったら点呼をして駅に向かって乗務が始まります。
車掌や運転士といった乗務員の出勤時間は駅とは違って列車の発車時間によって左右されます。
駅のように9時ちょうどの出勤というようなことはほとんどなく出勤時間は1分単位で変わっていきます。
また、乗務員にも2種類の勤務が存在します。
🔶出勤したらその日のうちに勤務開放される 日勤乗務
🔶出勤したら次の日まで乗務する 泊まり乗務
日勤乗務
朝の通勤時間帯や夕方の帰宅ラッシュに対応するため早朝から夕方まで乗務する仕事です。
出勤 6:53 終了 16:22
といった感じに朝出勤したら乗務と休憩を挟みながら夕方頃には仕事が終わります。
出勤時間が早くて朝家を出ても間に合わない場合は前日の夜から職場に入っておく『前泊』をすることもあります。
泊まり乗務
車掌の泊まり勤務の場合は一度出勤すると翌日まで乗務します。
泊まり勤務の場合は駅と同様で1回の出勤で2日分の仕事をします。
出勤したら乗務と休憩を繰り返しながら終電近くまで乗務します。
夜は終点の駅や車両基地で仮眠をとります。その日の仕事内容によってどこで寝るかは毎回変わります。
駅や車両基地には車掌や運転士が仮眠をとるための宿泊施設やお風呂もあります。
列車は365日休まず運転しています。休みも平日土休日関係ありません。
年末年始を列車で過ごすこともあります。
勤務は月の後半になると翌月の勤務1ヶ月分が発表されます。
車掌のいいところ・苦労するところ
ここからは実際にフェニ夫が車掌を経験して
苦労したところ
について包み隠さず解説していきます。
車掌のいいところ
各地で美味しいものが食べられる
車掌の仕事は駅員とは違って列車に乗務しながらいろんな場所で休憩があります。
晩御飯の休憩はB駅
翌日の朝食休憩はC駅
といった感じでバラバラです。
自分でお弁当を持ってくる乗務員もいますが
休憩する駅ごとでその場の美味しいお店に行って食事を取る乗務員も多くいます。
乗務員御用達のお店があったり、制服を着てお店に入るとちょっとしたサービスをしてくれるお店も多くあります。
街の変化に気づける
車掌は列車に乗って仕事をしているので沿線の変化によく気がつきます。
あのお店なくなっちゃった
など、街の変化や季節の移り変わりを感じることができます。
泊まり勤務で午前中に仕事が終わったらあの気になるお店に直行することもできます。
車掌の苦労するところ
異常時の対応
大雨や人身事故などで列車が途中で止まってしまった場合、
基本的には列車内には乗務員は運転士と車掌しかいません。
運転士は列車の安全確保が第一なので、お客様の対応は原則車掌が一人で行います。
場合によっては何百、何千人と乗っているお客様の対応を一人でこなさなければいけません。
こまめに車内放送を行ったり、個別のお客様の対応を行ったり。
時には理不尽な苦情や無理な要望を突きつけられることもあります。
何かあってもすぐには帰れない
列車は運転士と車掌がいて初めて運転が可能になります。
したがって、一度乗務を初めてしまうと家族に何かがあってすぐに帰らなくてはいけなくなった場合にも
交代乗務員が手配できるまでは乗務をし続けなければいけません。
夜遅くや職場から遠い場所で乗務している時などは簡単には交代乗務員は来てくれません。
その点は家族などの大切な人には理解してもらう必要があります。
車掌に必要なスキル
基本的には車掌には特別な資格やスキルは必要ないよ!
でもこれから解説する2つのスキルは持っておくと、入社の時にアピールできたり、働きだしてからも使えるよ!
接客スキル
この言葉はフェニ夫も実際に研修などで耳にたこができるほど聞かされました。
実際に車掌の仕事はお客様にきっぷを売ったり案内をするサービス業です。
丁寧な言葉を使ったり、笑顔で応対するのは接客の基本です。
各鉄道会社も定期的にマナー研修を行ったり、接客スキルを競い合う競技会なども行なっています。
最近では『サービス接遇検定』の資格を取得する運動も活発で、フェニ夫も準一級を取得しました。
これから鉄道業界を目指す人ならあらかじめ『サービス接遇検定』の資格は取っておくと面接などでアピールできるポイントになるのでおすすめです。
伝える力
車掌の仕事はお客様と一対一で接する機会は少なく、放送などで一度に多くの人に情報を伝えなくてはいけません。
そこでは伝える力が必要になります。
聞き取りやすい適切な音量
わかりやすい簡潔な言い回し
重要なところは繰り返す
など、常にお客様目線に立って安心して乗車してもらえるように努めなければいけません。
車掌の未来
車掌が乗務しないワンマン列車化が進む
業務の効率化や利用者の減少などによって閑散線区やホームドアなどの安全設備の整った都市部では
車掌が乗務しない『ワンマン列車』が増えていきます。
また、AI技術の進歩によって自動放送も臨機応変に対応できるようになり、
車掌が肉声で放送する機会はさらに少なくなっていきます。
保安要員・おもてなしがメインの仕事になる
車内放送やドアの開け閉めといった車掌の従来の仕事は少なくなっていきますが、
異常時の対応要員や車内でのおもてなしといった部分での仕事はまだまだ人でないとでいない部分が多くあります。
高齢者や障害のある方のお手伝いや小さな子供の見守りなど、おもてなしの仕事や
車内で事件や事故があった時のために乗務する機会が多くなっていきます。
まとめ
車掌の主な業務内容
🔶車内放送
到着放送・乗り換え案内など。異常時には適切に情報提供を行い安心感を与える。
🔶ドアの開け閉め
信号・時刻・お客様の乗降を確認して安全にドアの開け閉めを行う。
🔶車内巡回
車内に入ってきっぷの発売や乗り越しなどの精算対応。
車内に不審な人物・不審な物がないか確認する
車掌の勤務
一般的なサラリーマンのような朝9時〜18時までの 日勤
朝9時に出勤したら次の日の朝9時まで勤務する 泊まり勤務
車掌のいいところ
業務中の各地で美味しいものが食べられる
街の変化や季節の移り変わりを感じられる
車掌の苦労するところ
列車が止まってしまうと、一人で対応しなければいけない
家族に万が一のことがあってもすぐには帰れない可能性がある
車掌に必要なスキル
接客スキルと伝える力
車掌の未来
車掌が乗務しないワンマン列車が増える
異常時対応や車内でのおもてなしのための乗務が増えていく
基本的に鉄道会社(運輸職)に入社すると
駅員・車掌・運転士 を経験していきます。
駅員・運転士の仕事内容の記事もチェックしていきましょう!