幼い頃誰もが一度は電車を好きになったことがありますよね。
そして一度は電車を運転してみたいと思ったことがあるのではないでしょうか。
大きくなっても電車が好きで、将来電車の運転士になりたいと思っている人もいると思います。
小さい頃から電車が大好きで、将来は絶対に電車の運転士になってやろうと思っていました。
というかそれ以外の道は全く考えていませんでした。
実際に電車の運転士も経験した現役鉄道マンのフェニ夫が
電車の運転士とはどんな仕事内容なのか
電車の運転士になるまでの道のり
電車の運転士になれる条件
電車の運転士の将来性など
鉄道会社に入社してから電車の運転士になるまでの道のりを具体的に解説していきます
電車の運転士の仕事
いくつか紹介するね
列車の運転
みなさんが電車の運転士の仕事としてまず思い浮かぶのは
列車の運転だと思います。
お客様を安全・快適・時間通りに目的地までお運びするのが運転士の最大の使命ですよね。
列車は24時間365日休みなく運転されています。
社会の日常になくてはならない存在なのでそこに携われるのは本当にやりがいのある仕事です。
出庫・入庫・入換
こちらの仕事は普段はお客様から見えない仕事となります。
終点に到着した列車を車両基地まで移動させる入庫作業
駅内や車両基地内で列車を移動させたり、連結させたりする入換作業
これらの仕事も運転士の仕事の一つです。
始発点検
朝一番にお客様を列車に乗せる前に運転士は必ず始発点検を行わなければいけません。
始発点検では
ドアに異常はないか
ブレーキはちゃんと動作するか
など多くの項目を点検していき、お客様が安全で快適に乗車できるように確認します。
放送・案内
と思われる方もいると思いますが、
運転士も車内放送をすることが多くあります。
最近では車掌が乗務していないワンマン列車が増え
ワンマン列車では運転士が車内放送を行ったり
乗り換え案内なのどのお客様案内をおこないます。
異常時対応
鉄道の多くは外を走っています。
そのため、列車は多くの異常時に遭遇します。
踏切支障
大雨・大雪・強風
車両故障
お客様のトラブル
など、いつ何が起こるかわかりません。
ワンマン列車であれば乗務員は運転士一人だけなので
運転士が全ての事象に対して対応しなくてはいけません。
いつ何が起きても冷静に判断して対応するのも運転士の仕事です。
訓練
鉄道の安全システムは日々進化しており、大きな事故は確実に減りつつあります。
しかし、安全装置も人が正しく扱わなくては意味がありません。
また、時代の流れとともに鉄道における事件も多様化しています。
そんな中で、運転士は安全を確保するために定期的に訓練を受けています。
最近あった事象の研究
過去の事故の教訓
実車を使った訓練
など、日々勉強もしながら安全確保に努めています。
電車の運転士になる方法と道のり
ここからは実際に電車の運転士になる方法と運転士になるまでの道のりを解説していきます。
電車の運転士という仕事は多くのお客様の命を預かる仕事です。
正直『電車が好き』なだけでは務まりません。
電車の運転士になるにはいくつかのステップを踏んでいきます。
その中で
技術
性格
身体能力
を身につけていきます。しかし、このいくつかのスッテップのうちに
運転士になることを諦めざるをえない人も実際に多くいます。
運転士という仕事は大変に責任のある仕事ですので、誰でも簡単になれるものではありません。
本気で電車の運転士を目指している人にはぜひこの現実も知ってもらった上で目指してもらいたいと思います。
鉄道会社に入社
当然の話ですが、鉄道は鉄道会社が運営しています。
電車の運転士になるには大前提として鉄道会社に就職しなければなりません。
また、鉄道会社には多くの『職種』が存在します。
電車の運転士になるには駅員・車掌・運転士を経験する『運輸系』の職種に就くことが必須になります。
鉄道会社に就職できたとしても列車の運転に携わらない他の職種(車両系・施設系・事務系)を選んでしまうと運転士にはなれませんので注意しましょう。
また、一度職種を決めてしまうとその後は職種を変更できない場合がほとんどです。
総合職ではなくて一般職で入社しよう
鉄道会社に就職する方法はこちらの記事からどうぞ👇
駅員・車掌を経験
鉄道会社に就職してもすぐに運転士をやれるわけではありません。
一部例外はありますが、ほとんどの鉄道会社では最初に駅員を数年経験します。
駅ではお客様の前に立って、きっぷ売りや改札業務など鉄道の営業制度の基礎を学びます。
駅員を数年経験すると次は乗務員となって車掌を数年経験します。
駅員から車掌へは社内試験を受ける会社や、年数が経てば自動的に車掌になる会社もあるなど様々です。
車掌の仕事からは列車の乗務員となるので、駅との仕事とは大きく異なります。
ドアの開け閉め・車内放送・車内秩序の維持など
列車を安全・快適・正確に運行させる基本を学びます。
適性検査を通過
車掌を数年経験すると次はいよいよ運転士を経験するとこになります。
電車の運転士になるには『動力車操縦者運転免許』という国家資格が必要になります。
まず最初に運転士ができる体であるかどうかを調べる『適性検査』があります。
適性検査には
医学適性検査
の2種類があり、2種類ともクリアする必要があります。
適性検査の詳しい内容についてはこの後の
『電車の運転士になれる条件』
についてのところで解説します。
学科試験
適性検査をクリアすると『動力車操縦者養成所』に入り
社内規定
列車の仕組み
などについて約3ヶ月ほどかけて勉強していきます。
車の免許で言うところの『仮免許』を取る過程です。
鉄道会社によって泊まり込みで寮生活をおくる場合や、日帰りで毎日養成所に通う場合とがあります。
JRや大手私鉄は自社で養成所を持っていますが、小さな鉄道会社は自社で養成所を持っていないので、他社の養成所に入って一緒に勉強することになります。
最後に修了試験があり、この試験に合格しなければいけません。
不合格となった場合は運転士への道はここで断たれてしまいます。
みんな受験生並に毎日遅くまで勉強します。
見習い乗務
学科試験に合格すると現場に配属され、見習い乗務が始まります。
見習い期間はおおよそ半年程度です。
指導操縦者の指導の下、実際の営業列車を運転しながら
ブレーキ扱い
信号
踏切
などを覚えていきます。
乗務の他にも
車両故障時の応急処置
列車火災時などの処置
なども覚えなければなりません。
見習い期間中に中間審査と最終審査があり、最終審査に合格できれば『動力車操縦者運転免許』の交付を受けられます。(中間審査は不合格でも見習いは継続します)
最終審査に不合格になったり、あまりにも覚えが悪くて指導操縦者が不適格と判断した場合にはここで打ち切りとなり、運転士への道は断たれます。
見習い期間中も覚えることは山ほどあるので休みの日も毎日勉強します。
実際にこの見習い期間中にリタイアしてしまう人が一番多いです。
覚えなければいけないことが覚えられなかったり、メンタル的に耐えられず諦めてしまう人も多くいます。
独り立ち
最終審査に合格すると国土交通省から『動力車操縦者運転免許』が交付され一人で列車を運転することが許されます。
今までずっと隣にいた指導操縦者もいなくなり、自分一人だけで列車を運転することになります。
実際にフェニ夫が運転士としてデビューした時も
多くのお客様の命を預かるプレッシャーと幼い頃からの夢がついに叶うと言う喜びの思いが湧き出たのを今でも鮮明に覚えています。
初めて一人で列車を運転した時の思いは一生忘れないと思います。
運転士を目指している人はぜひ経験してほしいと思います。
電車の運転士になれる条件
運転士になるまでの道のりのところで少し触れましたが、電車の運転士になるには2つの適性検査をクリアしなければいけません。
運転士は列車の操縦以外にも何か異常なことが起こった場合に反対列車を止めるなどの『列車防護』を行わなくてはいけません。
電車の運転士は五体満足であって、視覚・聴覚・嗅覚・触覚が正常であることが前提となります。
運転適性検査
運転適性検査とは電車の運転士として適した性格かどうかを判断する検査です。
検査の中身は
などを行います。
結果は総合的に判断され、運転士には不適格と判断された場合には運転士の仕事はできません。
医学適性検査
医学適性検査とは医学的に電車の運転士ができる体であるかどうかを調べる検査です。
検査の中身は
視野の範囲
色弱の有無
聴力
血圧
血液検査
脳波
などを調べます。
1つでも異常が見つかると、運転士の仕事はできません。
電車の運転士の将来性
ここからは電車の運転士の将来性について解説します。
正直電車の運転士の将来は厳しいのが現状です。
将来的にはAIといった技術によって淘汰されてしまう可能性があります。
ただ、運転士としてではなくても、何かトラブルが起きた時のために乗務させておくということも十分にありえます。
ここでは近い将来の電車の運転士について解説します。
ワンマン運転が広がる
日本は少子高齢化がますます進み、今以上に人手不足になります。
鉄道業界においても効率化が進み車掌が乗務しないワンマン列車が増えていきます。
運転士の立場から見ると、車掌がやってくれる車内放送や精算、お客様対応など全てを運転士がやらなければいけなくなります。
駅もどんどん無人駅化が進むので自分が担当する列車の全ての責任を運転士が負わないといけないので、運転士の負担は増えていきます。
裏を返せばそれだけやり甲斐のある仕事と言うことなので、覚悟のある方には是非とも運転士を目差してほしいと思います。
ドライバーレス化
運転士が乗務せずに全てを機械が制御して列車を運行させるドライバーレス化は多くの鉄道会社が研究開発しています。
将来的には運転士が必要なくなってしまう未来はいつかやってきます。
しかしこれはまだ少し先の話なので、今すぐ運転士が必要なくなるという話ではありません。
今電車の運転士を目指している方は、いつかはドライバーレスの時代がやってくという現実は頭の片隅においておいた方が良いでしょう。
まとめ
列車の運転だけではなく、車両基地への列車の出し入れをする入庫・出庫作業などがある。
列車にお客様を乗せる前には始発点検がある。
ワンマン列車では車内放送やお客様案内をする。
人身事故や車両故障などの異常時対応。
取扱いの変更や最近の事象を学ぶために定期的に訓練を受ける。
①鉄道会社に就職
電車の運転士になるには駅員・車掌・運転士を経験する運輸系一般職として鉄道会社に就職する。
②駅員・車掌を経験
駅員として鉄道業の基本である営業制度や車掌として列車の運行の基礎を学ぶ。
③適性検査を通過する
運転適性検査・医学適性検査の2つをクリアしなければならない。
④学科試験
動力車操縦者養成所に入り約3ヶ月間の学科講習を受け、修了試験に合格する。
⑤見習い乗務
指導操縦者の下見習いとして半年程度実際の営業列車を運転し、最終審査に合格する。
⑥独り立ち
国土交通省から『動力車操縦者運転免許』が交付され一人前の運転士としてデビューする。
運転適性検査をクリアする
クレペリン検査・注意配分検査・展開図による空間認識検査などを受け、運転士に適した正確かどうかを検査する。
医学適性検査をクリアする
視力・聴力・脳波などの検査を受け、運転士として医学的に問題がないかを検査する。
ワンマン運転が広がる
ワンマン運転を行う列車が増え、運転しへの負担は大きくなる。
ドライバーレス化
運転士を必要としないドライバーレスの研究開発が進んでおり、いつかは運転士が必要なくなる。