- 「高卒で電車の運転士になるにはどうすればいいの?」
- 「大学に行かないと、鉄道会社には入れないの?」
- 「採用試験って何をするの?どんな対策をすればいい?」
進路を考えている高校生のあなたや、その親御さんから、よくいただく悩みです。
実際、鉄道会社には高卒で入社して運転士になった人がたくさんいます。
フェニオは現役の電車運転士で、鉄道業界には20年以上います。これまで駅員・車掌・運転士の3つを経験してきました。実はフェニオ自身も、高校時代に高卒で鉄道会社へ挑戦した経験があります(このときの話は記事の後半でお伝えします)。
この記事では、現役運転士のフェニオが、高卒で電車の運転士になるための具体的な方法と、採用試験を突破するための対策、そして在学中にやっておくとよいことを、現場の感覚を交えて解説していきます。
フェニオ💬 フェニオ:「『高卒じゃ運転士になれない』って思い込んでいる高校生、本当に多いんです。でも大丈夫。ちゃんと道はありますよ。一緒に見ていきましょう。」
高卒で電車の運転士になる方法


本題に入る前に、高卒で鉄道会社を目指すうえで、最初に知っておいてほしい大事なポイントが2つあります。
ひとつは、高卒での鉄道会社への就職は、基本的に「学校求人」だということ。
もうひとつは、電車の運転士になるには、鉄道会社の中でも「運輸系(運輸職)」という職種に応募しなければならないということ。ここを間違えると、たとえ鉄道会社に入れても運転士にはなれません。



この2つを知らずに進めてしまうと、あとで『しまった!』となりがち。まずはここを押さえておきましょう
この2点を踏まえたうえで、高卒で電車の運転士を目指すなら、やることは大きく「運輸系の求人に応募する」「採用試験対策をする」「求人がない場合の対策を知っておく」の3つに分かれます。
順番に見ていきましょう。
鉄道会社(運輸系)の求人に応募する
高卒で鉄道会社に就職する場合、基本となるのは「学校求人」です。
学校求人とは、鉄道会社があなたの高校あてに直接出してくる求人のこと。あなたは、学校に届いた求人の中から応募先を選び、進路担当の先生を通して応募します。
そして、ここが最重要ポイントです。
電車の運転士になりたいなら、必ず「運輸系(運輸職)」の求人に応募してください。
鉄道会社の仕事は、ざっくり分けると次のような系統があります。
鉄道会社には、こんな職種があります。
- 運輸系(運輸職)……駅員・車掌・運転士など、列車の運行に関わる仕事
- 車両系(技術職)……電車の整備・点検をする仕事
- 施設系(技術職)……線路・駅・電気設備などを保守する仕事
- 事務系……経理・人事・企画などの仕事
このうち、電車の運転士になれるのは「運輸系」だけです。
なぜなら、運輸系は駅員 → 車掌 → 運転士という順番でキャリアを積んでいく職種だからです。
たとえば「とりあえず鉄道会社に入りたいから」と車両系や事務系で入社してしまうと、あとから「やっぱり運転士になりたい」と思っても、基本的に運転士にはなれません。
だからこそ、応募する前にその求人が「運輸系」かどうかを必ず確認してください。わからなければ、進路担当の先生に「これは運転士になれる運輸系の求人ですか?」と聞けば大丈夫です。
ちなみに、運輸系で入社したあと、運転士になるまでの流れはこうです。
- まずは駅員として現場の基本を学ぶ
- 次に車掌になり、ドア扱いや車内放送、安全確認を覚える
- そして試験に合格すれば、いよいよ運転士へ
フェニオの会社では、入社から運転士になるまでおおよそ3〜5年が標準です。ただし、これは会社や個人によって差があります。



最初から運転士になれるわけではありません。駅員・車掌としてしっかり経験を積んでから運転士になります。この期間も、運転士になるための大事な土台づくりなんですよ
採用試験対策を行う
応募先が決まったら、次は採用試験の対策です。
高卒採用の試験は、ざっくり次のような流れで進みます。
- 校内選考……学校の中で「誰をその会社に推薦するか」を決める
- 会社の採用試験……学科テスト・適性検査・面接など
まず突破しないといけないのが、最初の関門である校内選考です。
ここで、多くの高校生が見落としている最重要ポイントをお伝えします。
鉄道会社は、有名企業・大企業です。だから、
つまり、ライバルは「鉄道好き」だけではありません。
そのため、「鉄道が好きです!」というだけでは、校内選考は突破できないのが現実です。
校内選考で先生たちが見るのは、成績・人柄・課外活動などを合わせた総合力です。
校内選考を勝ち抜くために、特に大事なのは次のことです。
- 学校の成績を良くしておく(評定が高いほど推薦されやすい)
- 遅刻・欠席を減らし、生活態度を整える
- 部活動や委員会など、頑張った経験を作っておく



『鉄道が好きだから受かるはず』は、正直あまいです。先生は『この子を会社に推薦して大丈夫か』を見ています。鉄道愛は大前提。そのうえで成績や人柄が問われるんです
校内選考を通過したら、いよいよ会社の採用試験です。ここでは主に学科テスト・適性検査・面接の3つがあります。
🔶 学科テストの対策
意外と知られていませんが、鉄道会社の採用試験には、国語・数学・社会などの一般的な学科テストがあることが多いです。
ここでおすすめなのが、先輩がその会社の採用試験でどんな問題を受けたか、記録を確認したり、直接聞いてみることです。
同じ高校から毎年その鉄道会社を受けている場合、過去にどんな問題が出たかの情報が、先生や先輩のあいだに残っていることがあります。
- ✅ 進路指導室に過去の受験記録が残っていないか確認する
- ✅ その会社に就職した先輩に直接聞いてみる
- ✅ 担当の先生に「どんな問題が出るか」を相談する
実際に出た問題の傾向がわかれば、何を重点的に対策すればいいかが見えてきます。



学科テストは中学レベルなので、落ち着いてやれば大丈夫。でも『どんな問題が出るか』を先輩から聞けるなら、それが一番の近道です。フェニオも先輩の情報にずいぶん助けられましたよ
🔶 小論文の対策
会社によっては、採用試験で小論文(作文)が出ることもあります。
お題は会社によってさまざまですが、たとえば「鉄道会社で実現したいこと」「最近気になった鉄道のニュース」「社会人として大切だと思うこと」といったテーマが出されることがあります。
小論文は、その場でいきなり書こうとすると、なかなかうまくまとまりません。だからこそ、事前の準備が効いてきます。
ここでも、過去にどんなお題が出ていたかを確認しておくことが大切です。
- ✅ 先輩や進路の先生に過去のお題を聞いておく
- ✅ よく出そうなテーマで、実際に一度書いてみる
- ✅ 書いたものを先生に添削してもらう
一度でも書いて添削を受けておけば、本番で自分の考えを筋道立てて書けるようになります。



小論文は『書き慣れ』が一番効きます。ぶっつけ本番だと焦ってしまうので、過去のお題を調べて、一度練習で書いておくと安心ですよ
🔶 適性検査の対策
適性検査は、性格や反応の傾向、簡単な計算・図形の問題などを見るものです。
特別な才能を見るというより、運輸の仕事に向いているかを確認する検査です。市販の「適性検査の対策本」を1冊やっておくと、当日あわてずにすみます。
🔶 面接の対策
面接でよく聞かれるのは、こんなことです。
- なぜこの鉄道会社で働きたいのか(志望動機)
- なぜ運転士になりたいのか
- 高校生活で頑張ったこと
- 早起きや夜勤など、不規則な勤務に耐えられるか
ここで、面接で絶対にやってはいけない伝え方があります。
それは、「鉄道が好きです!」で終わってしまうことです。
「鉄道が好き」というだけでは、面接官にはただの趣味にしか聞こえません。趣味なら、休みの日に電車を見に行ったり乗りに行ったりすれば満たせてしまいます。会社は「趣味を満たしたい人」ではなく、「仕事として鉄道に貢献してくれる人」を採用したいのです。
だから、面接で伝えるべきは「鉄道が好き」ではなく、次の3つです。
- 鉄道の「仕事」が好き……乗ることではなく、運行を支える仕事そのものに魅力を感じる
- 仕事にやりがいを感じる……お客様の安全を守る、社会の足を支えるといった責任にやりがいを感じる
- 自分はこんなことがしたい……運転士として、お客様を安全・正確に目的地まで運びたい、など
「子どものころから電車が好きで〜」だけで終わらせず、「だから、安全を守る運転士の仕事に責任とやりがいを感じる。自分はこういう運転士になりたい」と、仕事への姿勢と自分のビジョンまで話せると、説得力が一気に増します。



『鉄道が好き』はみんな言うんです。大事なのは、その先。『鉄道の仕事が好き』『この仕事にやりがいを感じる』『自分はこういうことがしたい』と語れる子は、面接官の印象に残りますよ。趣味と仕事は違う、ここを意識してくださいね
🔶 協調性も見られている
もうひとつ、面接で見られている大事なポイントがあります。それが協調性です。
意外に思うかもしれませんが、鉄道の仕事は、一人で完結する仕事ではありません。
電車は、運転士・車掌・駅員・指令員・整備士など、たくさんの人が連携して、はじめて安全に走らせることができます。一人でも勝手な行動をすれば、大きな事故につながりかねません。
だからこそ、鉄道会社の採用試験では、面接やグループでの活動を通して、
面接では、自分の意見をきちんと伝えつつ、相手の話も尊重する姿勢を見せることが大切です。部活動や委員会など、仲間と協力して何かをやり遂げた経験を話せると、協調性のアピールになります。



運転士は一人で運転席に座っていますが、その裏ではたくさんの仲間が支えてくれています。『自分さえよければ』という人は、鉄道の仕事には向きません。チームで働ける人かどうか、面接官はしっかり見ていますよ
🔶 面接は誰よりも練習する
ここまで面接のポイントをお伝えしてきましたが、最後にもっとも大切なことをお伝えします。
それは、
学科テストや適性検査がそれほど差のつかない中学レベルである一方、面接はあなたの人柄ややる気がもっとも表れる場です。だからこそ、面接の出来が合否を大きく左右します。
そして、面接は練習すればするほど上達します。
- 先生に何度も模擬面接をしてもらう
- 家族や友達を相手に繰り返し練習する
- 自分の受け答えをスマホで録画して見返す
何度も練習すれば、本番でも緊張せず、自然に自分の言葉で話せるようになります。
だからこそ、面接だけは、誰よりも練習してください。ライバルが3回練習するなら、あなたは10回練習する。その差が、本番で必ず効いてきます。



面接は、やればやるだけうまくなります。フェニオが見てきた中でも、受かる子は本当によく練習しています。『これだけやった』という自信は、本番の堂々とした態度につながりますよ。面接だけは、誰よりも練習してくださいね
鉄道会社からの求人がなかったら
「自分の高校に、鉄道会社の求人が来ていない……」
そんなときも、すぐに諦めないでください。打つ手はあります。
まず試してほしいのが、進路担当の先生に相談することです。
「鉄道会社の求人がほしいので、問い合わせてもらえませんか?」と、勇気を出して先生に頼んでみてください。先生が動いてくれて、求人が出てくるケースは実際にあります。
それでも、どうしても高卒求人が見つからない場合。
そんなときでも、運転士になる夢をあきらめる必要はありません。再挑戦のルートが大きく2つあります。



『求人がないから無理だ』と、自分で勝手にあきらめてしまう子が多いんです。でも先生に頼めば道が開けることがある。言ってみる価値は十分にありますよ!
🔶 ① 専門学校・大学に進学して再挑戦する
高卒では求人がなかった会社でも、専門卒・大卒の求人なら出していることがよくあります。
実は、フェニオ自身もこのルートで大手鉄道会社に入りました。
フェニオも高校時代に鉄道会社へ挑戦しましたが、当時はうまくいきませんでした。そこで専門学校に進学して学び直し、再挑戦した結果、大手鉄道会社に入ることができたのです。
だから、一度ダメでも、進学して再挑戦すれば道は開けるということを、フェニオは身をもって知っています。
🔶 ② 一旦ほかの業種に就職して、社会人の中途採用で再挑戦する
もうひとつのルートが、いったん別の会社に就職し、社会人になってから鉄道会社の「中途採用」で再挑戦する方法です。



高卒で一度ダメでも、それで終わりじゃないんです。進学して再挑戦する道も、社会人になってから挑戦する道もある。フェニオも一度はうまくいかなかった一人。だからこそ伝えたい。あきらめないでください
再挑戦の具体的な方法は、こちらの記事で詳しく解説しています。


在学中にやっておいたほうがよいこと


校内選考を突破し、採用試験で良い結果を出すために、在学中の今から準備できることがあります。
ポイントは、「成績・アピール材料・健康」の3つを今のうちに整えておくことです。
具体的には、こんなことをやっておくとよいです。
- 学校の成績を良くしておく
-
校内選考では評定が重視されます。今の定期テストの1点が、未来の推薦につながります。
- 部活動・生徒会・ボランティアなどに取り組む
-
面接で話せる「頑張った経験」になります。続けていること自体が、根気強さのアピールになります。
- 資格を取っておく
-
英検・漢検など、努力をアピールできる資格がおすすめです。「目標に向けて努力できる人」という印象につながります。
- 鉄道関連のニュースに関心を持つ
-
志望動機や面接の話題づくりに役立ちます。新しい車両や安全への取り組みなど、鉄道業界の今を知っておきましょう。
健康管理・視力に気をつける
-
運転士には視力などの身体基準があります。スマホの見すぎなどで目を悪くしないよう、今のうちから気をつけておきましょう。



『運転士になってから頑張る』では遅いんです。校内選考も適性も、今の積み重ねが効いてきます。高校生のあなたが今日からできることは、たくさんありますよ
なお、運転士の視力をはじめとした身体条件の詳しい基準については、こちらの記事でまとめています。気になる人はチェックしてみてください。
👉 【電車の運転士になれる人・なれない人】合否を分ける5つの条件


鉄道会社に入社後、運転士になるまでの流れ
無事に鉄道会社の運輸系に内定をもらえても、入社してすぐに電車を運転できるわけではありません。
運転士になるには、入社後に決まった順番でステップアップしていく必要があります。
軸でまとめると、「現場で経験を積む → 国家資格を取る」という流れです。
🔶 運転士になるまでの5ステップ
「高校を卒業して入社したら、20代のうちに運転士として独り立ち」というのが、高卒で運転士を目指す人の一般的なキャリアイメージです。



高卒で入社すれば、大卒の人より早く現場のキャリアをスタートできます。20代前半で運転席に座れるのは、高卒ならではの強みですよ
各ステップの詳しい中身は、こちらの記事で現役運転士の視点から解説しています。


まとめ


最後に、この記事のポイントを振り返りましょう。
- 高卒での就職は基本的に「学校求人」。学校に届いた求人に、先生を通して応募する
- 運転士になるには、必ず「運輸系(運輸職)」の求人に応募する(職種を間違えると運転士になれない)
- 採用試験はまず校内選考が関門。「鉄道が好き」なだけでは突破できず、成績・人柄を含めた総合力が必要
- 学校に求人がなくても、進路担当の先生に頼めば求人をもらえることがある
- それでもダメなら、進学して再挑戦、または社会人の中途採用で再挑戦という道がある
- 学校の成績を良くしておく
- 部活動・生徒会・ボランティアなどに取り組む
- 資格を取っておく
- 鉄道関連のニュースに関心を持つ
- 健康管理・視力に気をつける
高卒でも、電車の運転士になる道はちゃんと開かれています。
大切なのは、正しい方法を知って、今のうちから準備を始めること。そして、一度うまくいかなくても、フェニオのように何度でも挑戦できるということです。
夢に向かって、今日から一歩を踏み出そう!









コメント