- 電車の運転士は出勤から退勤までどんなスケジュールで仕事をしているの?
- 電車を運転する以外にも何か仕事はあるの?
- 休憩時間や仮眠時間はちゃんとあるの?
電車の運転士が出勤してから退勤するまでの間どんなスケジュールでどんな仕事をしているのか、あまり知られていませんよね。
電車の運転士はお客さんをのせて電車を運転する以外にも入換や連結、点検などお客さんの目につかないところでも様々な業務があります。
この記事でわかること
✅️ 電車の運転士の業務内容
✅️ 電車の運転士の1日の流れ
✅️ 電車の運転士の労働環境

電車の運転士の仕事は「行路」と呼ばれているよ
この「行路」が何十通りもあって、内容も全部違うんだよ
電車の運転士の出勤から退勤まで


上の図は電車の運転士の出勤から退勤までの行路(スケジュール)の一例です。
電車の運転士の仕事は泊まり勤務が基本です。一度出勤すると家に帰れるのは翌日になります。
電車の運転士が出勤してから退勤するまで具体的にどんなことをしているのか、具体的に解説していきます。
出勤・準備・点呼

電車の運転士の勤務は最初に乗務する列車の時間によって決まります。
出勤時刻も1分単位で決まっており、行路によって毎回出勤時刻が変わるのが特徴です。
出勤時刻を間違えると列車が遅れてしまうおそれがあるので、運転士は出勤時刻には特に気をつけています。
出勤、着替
電車の運転士は駅やその周辺、車両基地などにある乗務員専用の職場に出勤します。
運転士の職場は
- 運輸区
- 運転区
- 列車区
- 運輸所
- 電車区
- 乗務区
- 機関区
などと呼ばれ、鉄道会社や職場によって名前が変わります。
出勤したら制服に着替えて乗務前の準備をします。

駅とは少し離れた所に職場があることが多いよ
乗務準備、出発点呼
自分が担当する列車の時刻表などを準備して、変更事項や工事徐行、注意箇所などを当直と相互に確認して点呼を行います。
点呼では健康状態の申告や機械によるアルコール検査が必ずあります。
- アルコールが検知された
- 乗務に適さない薬の服用をしている
- 体調が優れない
- メガネやコンタクトを忘れた
などの場合は乗務ができないため、退勤となります。

急遽仕事を休むと他の人を呼び出さなきゃいけなくなるよ
運転業務

電車の運転士のメインの仕事が運転業務です。
お客様を安全かつ快適に目的地までお運びする最も重要な業務です。運転士の運転業務には
- 本線運転
- 入換・入出区
- 連結・分割
などの車両の運用に関わる業務も多くあります。
本線運転
お客様を安全・快適に目的地までお運びする最も重要な仕事です。
最近は自動で駅に停車させる装置や全自動で運転してくれる路線もありますが、まだまだ運転士の注意力や技術で運行している路線がほとんどです。
- 信号の現示
- カーブ・ポイントの速度
- 踏切に異常はないか
- 停車駅か通過駅か
- ホーム上は安全か
- 停まる場所は正しいか
- 乗り心地はよいか
など様々なことに気を使いながら運転します。

電車の運転中は朝焼けや夕焼けが綺麗で、
沿線の新しいお店など、変化を感じられる楽しみも多いよ
入換・入出区作業
本線乗務以外にも車両の運用に合わせて入換や入出区作業があります。
入換・入出区作業とは
- 車両基地にある電車を駅まで運転する
- 終着駅に着いた電車を車両基地まで運転する
- 駅に到着した列車を他のホームに転線する
などお客様を乗せることは基本的にありませんが、作業の開始時間・終了時間も全て決められています。
連結・分割作業
お客様のご利用状況に合わせて列車を繋げたり、切り離す作業を行います。
決められた時間内にスムーズに作業を行わなければいけません。
出区点検
電車の運転士はお客様を乗せる前に必ず点検を行っています。
- 座席に汚れや破損はないか
- ドアは全て正常に動くか
- ブレーキに異常はないか
- 台車に異常はないか
- 保安装置(ATS)に異常はないか
- 空調やマイクに異常はないか
など、安全で快適に列車を運行できるように毎日確認をしています。
点検に異常がなければ車両基地から駅まで列車を移動させ、お客様を乗せて本線乗務です。
休憩・仮眠

乗務の合間には休憩時間があります。休憩時間には食事をしたり、外出することもできます。
夜には仮眠を取る時間が設けられており、お風呂に入って乗務員専用の寝室で寝ることができます。
休憩、食事
次の乗務までの間は休憩時間です。
- 他の乗務員との雑談
- 食事
- 仮眠
- 外出
次の乗務に向けてリフレッシュします。
乗務の出先で休憩することが多いので、その場所場所で乗務員御用達のお店があります。
乗務員はよくオススメのお店の情報交換をしています。

制服で行くと割引してくれるお店もあるよ
仮眠
夜は短い時間ですが仮眠を取ることができます。
駅や車両基地には乗務員専用のお風呂や寝室があります。睡眠時間は約3時間〜6時間とその日の仕事内容によって様々です。
天候不良や人身事故などで列車が遅れた場合は基本的にそのまま睡眠時間が削られてしまいます。

寝る時間が少ない仕事は正直キツイ😢
乗務終了・退勤

全ての乗務が終わったら、職場に戻って乗務中に起きたことの報告や片付けを行い、次の出勤日・出勤時刻の確認を行い退勤します。
乗務報告、終了点呼
担当する全ての列車の乗務が終わったら、職場に戻って乗務報告と終了点呼を受けて仕事が終わります。
- 列車に遅れはなかったか
- 車両に異常はなかったか
- 体調は良かったか
などを当直に報告して次の出勤日と出勤時刻を確認します。
着替、退勤
終了点呼を受けたら着替えをして退勤です。
泊まり勤務は午前中に仕事が終わることが多いので、そのまま遊びに出かけたりすることもできます。
月に一度の訓練や会社に残って業務改善活動などをすることもあります。
訓練・改善活動

終了点呼を受けた後もすぐには帰宅せずに職場に残る事があります。
- 定期訓練
- 自主訓練
- 改善活動
など、乗務とは別の仕事もあります。
定期訓練
電車の運転士は定期的に会社が主催する訓練に参加しなければいけません。
定期訓練では
- 最近起きた事故・事象の詳細解説
- 変更になった取り扱いの周知解説
- 重大事故防止のための勉強
など、大きな事故を発生させないために訓練を受けています。
実際の車両を使ったり、駅や車掌と合同で行う訓練もあります。

定期訓練は毎月2時間程度行われるよ
自主訓練
会社が主催する定期訓練の他にも乗務員間の任意の取り組みで自己訓練も行っています。
電車の運転士専用のシミュレーターを使用して
- 車両故障の対応
- 天候不良時の取り扱い
- 信号などの設備故障時の取り扱い
など普段はなかなか遭遇しない事象にも対応できるように訓練しています。
改善活動
訓練以外にも職場に残って、チームごとに改善活動も行っています。
- 乗務で使用する資料の作成
- 複雑な作業の効率化
- 衛生面など労働環境の改善
これらの改善活動も業務の一環として活動しています。

乗務時間外の会社での活動は残業扱いだよ
まとめ
電車の運転士の1日
✅️ 電車の運転士は泊まり勤務が基本
✅️ 一度の出勤で2日分働く
✅️ 入換・入出区・連結などの作業も多くある
✅️ 乗務の合間に休憩があり、食事や外出もできる
✅️ 夜はお風呂に入って仮眠が取れる
✅️ 業務終了後は訓練や改善活動がある
行路によって仕事内容は様々なので、出勤時間が早朝や夕方になることもあります。

不規則な生活になりがちだから、睡眠や体調管理には気を付けているよ。